■萬葉集は、現存する最古の和歌集ですが、成立時期と編者は不明です。
■全20巻、約4,500首。大体、年代順に並べられています。
■歌は、その内容によって「雑歌」「相聞歌」「挽歌」に分類されています。
○「雑歌」‥‥‥季節を歌ったものなど様々な歌
○「相聞歌」‥‥夫婦、恋人などの相手を思う恋の歌
○「挽歌」‥‥‥主として死を悼む歌
■萬葉集の最初にでてくる歌は
雄略天皇の歌「籠もよ み籠持ち 掘串もよ み掘串持ち
この丘に 菜摘ます兒 家聞かな 名告らさね ‥‥」
(巻1、1)
■最も古い時代の歌は
磐姫皇后の歌「君が行き 日長くなりぬ 山尋ね
迎へか行かむ 待ちにか待たむ」以下4首
(巻2、85)
■天皇・貴族のほか、額田王、柿本人麻呂、山上憶良、山部赤人、大伴旅人、大伴家持などの有名歌人。
その他、一般庶民、農民、九州の太宰府にいた兵士(防人)など。
■萬葉集には、約1200の地名がでてきます。これを分類すると次のようになります。
大和 ‥‥約4分の1
大和周辺‥‥約4分の1
山陰 ‥‥柿本人麻呂が中心
筑紫 ‥‥大伴旅人、山上憶良と派遣使、防人が中心
越中 ‥‥大伴家持が中心
東国 ‥‥東歌。防人の出身地を中心に、山部赤人、高橋虫麻呂
■ 「長歌」「短歌」「旋頭歌」などがあります。
○「長歌」‥‥‥‥‥‥五七五七・・と続き、七で終る形式
「大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山‥‥」
(巻1、2)
○「短歌」(反歌)‥‥‥‥五七五七七の形式
「春すぎて 夏きたるらし 白たへの 衣ほしたり天の香具山」
(巻1、28)
○「旋頭歌」(せどうか)‥‥五七七・五七七の形式
「新室の 壁草刈りに いまし給はね ‥‥」
(巻11、2351)
■「長歌」約270首、「旋頭歌」約60首のほかは、「短歌」が主体となっています。
■現代の「ひらがな」がなかったので、漢字で書かれています。
漢字には、意味を表す「訓仮名」と、音を表す「音仮名」があります。
■萬葉集の歌は、意味と音を読み取り、歌の形式に合わせて読み方ができています。
■仁徳天皇の5世紀から、奈良時代の8世紀半ばまでの約300年間。
■萬葉集の最後をしめくくるのは、759年正月に大伴家持が詠んだ次の歌
「新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いや重け吉事」
(巻20、4516)