(1)
石上 布留の神杉 神さびし
恋をもわれは 更にするかも
柿本人麻呂歌集(巻11、2417)
(2)
をとめらが 袖ふる山の 端垣の
久しき時ゆ 思ひきわれは
柿本人麻呂(巻4、501)
天理市布留町の静かな森の中に、今でも神々しく立っている石上神宮は、万葉集では、石上布留(いそのかみふる)と詠まれることが多い。(1)【石上布留の神杉のように老いてなお、私は恋をしようとしている。】(2)【乙女たちが袖を振る(布留)のやしろの端垣(みずがき)が久しく変わらないように、私はずっとあなたに恋している。】