探訪 萬葉の世界

萬葉ゆかりの地

佐保(奈良市)

うちのぼる 佐保の川原の青柳は 
今は春べと なりにけるかも

大伴坂上郎女(巻8、1433)

東大寺の転害門から法華寺にいたる現在の一条道りは、佐保路と呼ばれ、この通りをはさんで、平城京の貴族たちが邸宅を構えていた。万葉集を代表する女流歌人、坂上郎女(さかのうえのいらつめ)も、佐保を愛し、佐保川を詠んだ美しい歌をたくさん残している。佐保川は平城宮の東から南へと下る小さな川で、千鳥もさかんに鳴く清流だった。【佐保の川原でいっせいに新芽をのばし、風に揺れている青柳に、春の訪れが感じられる。】

佐保路の水上池